止まらぬ自衛官への職業差別

式典に初参加した八重山警備隊=11月26日、那覇市の陸上自衛隊那覇駐屯地

沖縄県内には、反米軍基地を訴える人々が一定数存在するが、時折、その敵意の矛先は自衛隊にも向くことがある。

昨年末、宜野湾市議会でこんな議論があった。昨年11月に行われた同市産業まつりの「防災ブース」に、同市からの依頼で自衛隊が車両展示や記念撮影などのコーナーを設置したことに対し、同市の野党(社民党など)市議らが不適切だと指摘したのだ。

これらの市議は、「(反自衛隊の)市民感情に配慮すべき」などと訴えたが、与党・自民党市議らからは、「職業差別じゃないか!」とヤジが飛ぶなど、議会は大荒れの展開を見せた。

他にも昨年3月、石垣市議会で共産党市議が「(自衛官は)町の中では迷彩服で歩かないでほしい」などと発言し、自民党市議が不適切発言として撤回を求める一幕もあった。

自衛官に対する職業差別を行うのは議員だけではない。昨年7月、石垣市の人口が初めて5万人を突破した際、地元紙・八重山毎日新聞が社説で「『自衛隊のおかげで5万人に達した』などと言われたら素直に喜べないのが一般市民の受け止めではないか」などと批判し、「自衛隊員、家族は(人口に)含めずに発表すべきではないか」と主張した。

これに対し同日、地元・八重山防衛協会は抗議声明を発表。中山義隆同市長も「極めて人権を無視した職業差別」だとして電話で抗議したと明かした。各方面から多くの批判を浴びた同社は翌日付1面に「おわび」を掲載した。このように地元紙までもが自衛官に対する職業差別を行う始末だ。

県は昨年4月、「沖縄県差別のない社会づくり条例」を制定した。自衛官やその家族であるという理由で不当な差別を受けることのない沖縄になることを願うばかりだ。

(K)

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