年々、スマートフォンで送るデジタル年賀状が増えている。2024年用年賀はがき印刷枚数は14億4千万枚と前年より12%も減った。
わが家も同様に、出す枚数も届く枚数も減っている。ネットで済ませたり、年齢を理由に出さない人が増えたりしているからだ。
今年の年賀状は、「定年退職した」「年金生活になった」という文面が目立った。「年賀状終いをします」という一文が添えられているものもあった。だいたい80歳くらいが多い。
驚いたのは、同じ人から年賀状が2度届いた。最初は印刷、次は手書きだった。おそらく、こちらの返信はがきに向こうが返信をしてきたのだろう。80歳を超すと、出したことすら忘れてしまう。年賀状終いを考える頃である。
今は大半が印刷された年賀状だが、端に添えられた手書きの一文から、いろいろな情報を読み取ることができる。健康状態や年の取り具合、暮らしぶり、互いの人間関係の距離感など。ネットでは決して伝わらない、人の表情である。
知人の大学教師に、時候のあいさつや要件などを手書きのはがきで伝えてくださる方がいる。送る相手は筆者だけではないようで、教え子や知人・友人にも手書きを通している。その人の考えがあってのことなのだろう。
実際、紙に文章を書いてから、パソコンに打ち込むという人が周囲にいる。紙に書くと頭が整理されるからだと言う。
今年の秋ごろ、郵便はがきの料金が現在の63円から85円に値上げとなる。年賀状がなくなることはないだろうが、紙の年賀状は残っていくのかどうか。
人は「安」「楽」に流れやすい。年に1度の年賀状でつながる関係であっても、そこに伝わる言葉があれば関係はつながっていく。かの教師に倣って、年賀状だけは紙でいこうと思っている。
(光)