神社に行って、お賽銭(さいせん)を投げるという行為は初詣の当たり前の行動だが、そこにどんな意味があるかはあまり分かっていない人が多い。
神様に無病息災や家内安全を祈願するので、その願いを成就してもらう代価ということになるが、それにしては5円(ご縁を得るの意味も)などの硬貨ではちょっと安すぎるのではと思うことがある。
神社本庁のホームページなどの説明では、昔はお神酒やコメ、山海の幸、産物などを感謝の意味を込めて捧(ささ)げていたのを、貨幣の普及と共に金銭を代わりにするようになっていったとある。
だとすれば、神様に捧げる行為が無造作に投げ入れるというのは無礼ではないかという疑いが湧いて来る。それで、丁寧に入れることを注意している所もある。
ここで、不思議に思うことは、お賽銭の漢字になぜ「賽」という字が使われているのかということである。
賽の字はこの世とあの世の境目にある賽の河原をほうふつとさせることから、「賽銭」も、何かそうした意味があるかもしれない。
推測するならば、身に付いた「穢(けが)れ」や「不運」などを銭に寄り付かせて、それを払うために投げ入れて神様に浄化していただき、その代わりに良い運勢をいただくという意味も含まれているのではないだろうか。そう考えると、投げ入れるという無礼に見える行為の意味が見えてくる気がする。
(羽)