浦添市の国道沿いで6日、痛ましい事故が起こった。観光で訪れていたというネパール人夫婦が車にはねられ、死亡したというものだ。県警浦添署は車を運転していた80代の女性を過失運転致傷容疑で現行犯逮捕した。
全国的に高齢ドライバーによる事故が相次ぐ中、政府は運転に不安のある高齢者に免許証の返納を勧めるなどの対策を講じているが、効果はいまひとつのようだ。
超車社会である沖縄も高齢ドライバーが多い地域の一つだ。免許を手放した場合、那覇市内の一部地域ではモノレールがあるが、それ以外の場所ではバスかタクシーに乗るしかない。特に北部山間部や離島などでは、車が無ければ買い物にも病院にも行けないほど、車が生活に根付いている。
現在沖縄県では、免許を自主返納した場合、モノレールやバスの運賃半額、タクシー乗車料金10%割引など、特典を受けることができるが、利用回数が多かったり、長距離の移動となれば車よりも出費がかさむ。そもそも現在、沖縄では、コロナ禍の大量離職に伴う乗務員不足で、タクシーの稼働率が大きく落ちている。観光客だけでも手が回らない状況で、免許返納者への対応ができるのか、疑問だ。
また、免許返納によって友人たちとの集会や地域の活動など、人との関わりが失われ、高齢者が家に引きこもってしまうことなども懸念されており、免許返納問題はそう簡単ではなさそうだ。
地域での乗り合いバス導入や、民間の送迎タクシーへの補助金給付など、行政の本気度が問われるものばかりだが、どこまで力を入れられるかは未知数だ。
これ以上、罪なき人の命が奪われぬよう、本腰を入れた対策を練る必要があるだろう。
(K)