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わが家の防災対策は大丈夫?

亡くなった中山弘幸さんらが避難した際に通った道=1月4日午後、石川県七尾市

元日の午後4時すぎ、能登半島を中心に最大震度7の地震が襲い、おとそ気分が吹き飛んでしまった。その後も地震や津波が断続的に震災地域を襲い、輪島などは大火にも見舞われた。

震度7は気象庁の震度階級の最高震度だ。人は這(は)わないと動くことができず、鉄筋コンクリートの建物も耐震性が低いと、倒れるものが多くなるという。テレビが伝える震災当時の映像は、それを裏付けている。

最大の被災地の輪島、珠洲、穴水などは思い出深い場所だ。ちょうど50年前、高校2年の6月にクラブ活動をやめた筆者が、時間が空いた夏休みに初めて自分で計画を立てて大学生の従兄(いとこ)と旅したのが能登半島だった。穴水や珠洲を経て半島巡りの観光バスに乗って輪島で1泊し、朝市を見て東尋坊に向かった。

初めて見る夏の日本海の目の覚めるような青さが印象的だった。その旅先でアメリカのニクソン大統領が辞任を表明したニュースを見て、権力の無常を感じる、感受性の強い年頃だった。

大火に焼き尽くされた輪島の朝市の姿は衝撃そのものだったが、徐々に被害の深刻さが明らかになっている。政府には総力を挙げて人命救助と被災者支援に努めてもらいたい。

建造物の耐震基準は大きな災害のたびに強化されてきた。高速道路が600メートル以上にわたって横倒しとなり、日本の安全神話を揺るがした阪神・淡路大震災。橋の場合、これを契機に耐震基準が強められ、その後、何度か補強されて、震度7でも崩れないように造られている。

とはいえ地震は火災や津波、地割れ、土砂崩れなどさまざまな災難を伴い、コストの問題もあって建造物の耐震基準の強化にも限界がある。結局、非常時にどう対応するか、という私(わが家)の防災対策が問われてくる。新年早々だが、こちらの見直しも必要であることを、改めて感じさせられた。

(武)

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