【政界一喝】政権は国民の命を守る自覚を

2024年を明けるなり、元日には震度7をもたらした能登半島地震、2日には羽田空港で日本航空の旅客機と海上保安庁機の衝突事故が発生した。

地震では3日午後現在、石川県で65人、航空機事故では海保機乗員5人の死亡が確認されている。海保機の運航は地震の被災地へ緊急に支援物資を急ぎ届ける目的であった。亡くなった方々へのご冥福を申し上げる。

地震では防衛省が初動の即応部隊「FAST-Force」の稼働をはじめ、統合任務部隊を1万人規模で編成し、現地2000人態勢を敷いた。災害時に頼れる自衛隊の存在感と役割への共感は今回も国民の間に一層高められた。

またSNS上では各地から警察と消防の出動の投稿も数多く見られた。行政組織ながら、危機対応における行動分野が明確で、権限が委譲されている使命感ある公務員らの主体的な対応力も感じさせた。被災現場で救助・救援活動にひたむきに取り組む姿に感謝したい。

航空機事故では、ほどなく全焼する旅客機から乗客367人と乗員12人、計379人全員の無事避難が確認され、国民を安堵(あんど)させた。胴体着陸となり火を噴く機体において、停止するや乗員が直ちに出火箇所を特定して避難可能なドアを指定、煙巻くなか幼児8名を含めてシューター脱出を完遂した。

普段の危機対応の訓練を生かして落ち着いて乗客を誘導し、最後に機内に残った乗客がいないことを確認した上で自らも滑り降りた乗員らを慰労してもらいたい。

この脱出劇は、事故後まもなく中継を開始し、燃え盛る機体を映しながら時々刻々、報道を続けた外国メディアを驚嘆、感動させた。年頭から自然災害や航空機事故が続けざまに起こり、多くの国民はその都度、被災者の救難・救助や無事を祈りつつ、政府や地方自治体、大手航空会社がしっかり対応し機能することを信じている。

一方で、このようなさなかに反原発の観点から、安全無事との報告を飛び越えて志賀原子力発電所(石川県志賀町)の危険性を煽(あお)ったり、自衛隊反対の観点から、地元住民が怖がるので現地派遣に行くなとしたりする不適切なSNS投稿も散見されている。

1月13日の台湾総統選を皮切りに11月の米大統領選まで各国の重要選挙が行われる2024年、政府は本来内政を固めながら、国民主権に立った外交を行い、国家の安全保障にも注意を払わなければならない。だが、岸田政権は低支持率に加え、自民党の政治資金不記載問題で国民の信頼をさらに失っていて、それがままならない。

2日連続の災害と事故を受けて政権は襟を正し、国民の命を預かり守る立場への自覚を再確認してほしい。また、原発の安全性や自衛隊の果たす役割についても、正しく効果的に情報発信する情報力を高める機会とするべきだ。

(駿馬)

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