中国の習近平国家主席が11月後半、中国人民解放軍の傘下にある「海警局」に対して、沖縄県石垣市の尖閣諸島に関して、「1㍉たりとも領土は譲らない」と発言したことが報じられた。
各種報道によると、習氏は同諸島の「主権を守る闘争を強化する」と述べたといい、海警局は、24年は毎日必ず尖閣周辺に艦船を派遣すると表明しており、日本漁船への立ち入り検査も計画しているという。
第11管区海上保安本部によると、海警局の公船が尖閣沖・領海外側の接続水域内を航行した日数は昨年1年間で352日だった。過去最多だった2022年の336日を大幅に上回る結果となった。
毎年年末になると、過去最多を更新してきたこの数字だが、今年は365日になってしまうのだろうか。海警局はこれまで、現地で操業中の日本漁船を追い回す形で領海侵入をしてきたが、中国側が日本漁船への「立ち入り検査」に踏み切った場合、海保だけで対応し切れるのか、疑問がよぎる。
1月13日には、台湾の行く末を左右する総統選挙が行われる。この結果がもたらす周辺海域の情勢変化は、習氏はもちろん、沖縄県民も注視していく必要があるだろう。
日本同様、周辺海域で中国の軍事的挑発を受けているフィリピンは昨年9月、中国がスカボロー礁に設置した海中障害物を撤去し始めた。レーザー照射や放水砲で妨害されながらも、フィリピンは自国の領海を守り抜く姿勢を貫いている。
尖閣周辺に中国が違法設置した海洋ブイすら撤去できない日本政府は、万が一、尖閣周辺で衝突があった場合、毅然(きぜん)とした対応が取れるだろうか。尖閣対応での「ことなかれ主義」は限界にきているのではないか。
(K)