
2024年は「甲辰(きのえたつ)年」。辰は「龍(竜)」のことだが、辰の字自体は草木の形が整った状態を指すとされている。後に、神話的な存在である龍が当てはめられた。
龍は川や沼などから雷雲を呼び、天に昇ることから立身出世の象徴とされている。それを示すように「登龍門」という言葉がある。鯉(こい)が流れの激しい黄河の龍門の滝を登り、龍となったという伝説からきている。
龍門の前で多くの魚がひしめきながら滝登りをする印象がある。どんな魚でも滝登りができれば龍になれるということだったが、成功したのは鯉だったのである。ここから登龍門は成功や出世への関門を意味するようになり、受験などがその例として挙げられる。
中国では、官吏になるための難関の試験、科挙も意味した。日本では「芥川賞は文壇の登龍門」などと、作家デビューへの道にもこの言葉が使われる。
芥川賞の由来となった芥川龍之介は、名前に「龍」の字がある。その意味でも、芥川賞は登龍門のイメージと合う。第170回芥川賞は候補作が決まり、来年1月17日に受賞作が発表される予定だ。しかし登龍門を越えても、新人賞である限り、受賞後も活躍できるかどうかは分からない。
これまで多くの受賞者がいたが、現在でも活躍している作家はそれほど多くない。むしろ、受賞していないにもかかわらず世界的に活躍している村上春樹さんのような作家もいる。そのあたりは、実力主義の厳しい世界である。






