雪は降る、列車は来ない。いくら待っても、白い雪がただ降るばかり――。北国では歌手アダモさんの「雪が降る」をこんなふうにもじって列車を待つ季節となった。今週、寒波襲来というので身構えてJRの駅に向かった。
東北本線郡山駅(福島県)で午前7時47分発の列車を待つ。白河発福島行きの4両編成。この列車に乗り遅れると、次の列車は午前8時42分発。ほぼ1時間待つ羽目に陥る。東北本線、それも通勤時間帯なのに、この疎らさである。
おまけに、しばしば列車は定刻通りに来ない。それで運行情報をスマートフォンに知らせる送信サービスを利用している。この1カ月も頻繁にメールが入った。「強風のため遅れ発生」「倒木の影響で運休」「鹿との衝突で一部列車に遅れ」――。人為よりも自然の営みが多い。
「本線」といっても、実はローカル線である。上野発青森行きの夜行列車はもとより、全線を通して乗客を乗せる普通列車は存在しない。上野からは宇都宮。宇都宮からは黒磯。黒磯からは新白河。新白河からは福島。そんな具合に細切れ。それが日常生活圏だからだ。遠くへは新幹線でどうぞ、である。
例外は貨物列車。20両規模で札幌まで走る。乗客はローカル、貨物はフル利用。トラック運転手が不足する時代に、本線の活路は貨物にありはしないか。
雪は降る、列車は来ない。そんな時は暖房の利いた待合室に逃げ込んで鉄道の未来を思い描く。遠くで汽笛を聞きながら。