もうすぐクリスマス。闘病中の子供たちが入院する医療施設など、各地の子供関連施設では、サンタクロースが一足早くプレゼントを配るなどしながら笑顔を振りまいている。
サンタの故郷と言えば、北欧フィンランド。そこからやって来た「グリーンランド国際サンタクロース協会」認定のサンタと会えるイベントは毎年大人気。中でも家族そろっての記念撮影は、子供ばかりか大人も喜ばせている。今のご時世、“本物”との写真をSNSにアップすれば「いいね!」と、うらやましがられるのは間違いない。
子供に笑顔を届けるサンタになることを希望する人は少なくないが、誰でもなれるわけではない。そのための養成学校はフィンランドだけでなく、米国などにもある。日本でも学校というほど大げさでなくても子供と触れ合う時の心得や、夢を与えるための演技などを学ぶ講習会が開かれる。
今から30年前、筆者がワシントン特派員時代の体験。当時も、王様が座るような椅子に腰を掛けたサンタの膝の上に子供が乗って写真を撮るコーナーは有料(飴〈あめ〉などのプレゼント付き約700円)でも、長蛇の列ができ1時間近く待つほどの人気ぶりだった。
その時、知ったのだが、サンタは細やかな気配りが必要な仕事で、養成学校では歩き方から話し方までかなり高度なことを学ぶ。子供にとってサンタと会えるのは年に1度の夢。無愛想に振る舞ってはその夢を壊す。
かと言って、子供を楽しませようと、あまりエネルギッシュになるのも禁物。逆に怖がられてしまうからだ。細心の注意が求められるのは抱っこする時。「いたずらされた」などと訴えられることもあるからだという。
子供の性被害が少なくない米国でのことだったが、日本も安穏としていられなくなった。日本でのサンタ講習会では、どんな注意がなされているのだろうか。
(森)