
フィンランドに住んで以来、つくづく便利になったと思うことが、最近、公共のサイトにおいて英語の表示も目に付くようになったことだ。かつてはフィンランド語とスウェーデン語のみの表示だったが、翻訳を頼む必要性がなくなった。
しかし、最近の世論調査によると、80%のフィンランド人は、英語がフィンランドで市民権を得ることに「ノー」という意思を示したのだ。これには、少々戸惑いがあるが、確かに自らの言語よりも英語での会話や表示が多くなれば、英語に対する拒絶感も生まれるだろう。
数年前に、ヘルシンキ市長が、ヘルシンキの公用語を英語にしたいと述べ、多くの厳しい批判にさらされたこともあった。フィンランドは欧州連合(EU)の一員で、多くの欧州人が往来するようになっているが、やはり、自らの言語に誇りを持つのは当然なのかもしれない。
また、フィンランド語と同じく公用語のスウェーデン語に対しても、年々、公用語とするのを廃止すべきだという声も増えつつある。フィンランドに在住する他の国々の人は、フィンランド語を学ぶべきだという声は強く、政府も、今後永住権を申請する人は、フィンランド語の理解ができなければ取得できないようにする方針を打ち出している。
記者も、そろそろ本格的にフィンランド語を学び、スムーズに話せるようにならねばと痛感する日々だ。(Y)