【上昇気流】(2023年12月4日)

高エネルギー宇宙線による次世代天文学の概念図(大阪公立大、京都大、RyuunosukeTakeshige提供)

宇宙の彼方、大質量の恒星の大規模爆発などによって生まれ、地球に飛来してくる高エネルギー粒子「宇宙線」。

1912年にオーストリアの科学者が気球に乗り、高度が高くなるほど増えてくる放射線を見つけ、後にこう名付けられた。人類への悪影響が言われ、一時、科学者間でもうとまれる存在だった。

その宇宙線だが、先ごろ大阪公立大や東京大などの国際研究チームが、観測史上最高クラスの極めて高いエネルギーのものを検出し、「アマテラス粒子」と命名したと発表。明け方に飛来したことなどから日本の神話にちなんで名付けた。

まさに“天照らす”ほどの強さで、飛来方向には発生源候補となる天体がなく、未発見の天体現象や、素粒子物理学の標準理論を超えた現象が起源となっている可能性もあるという。論文は米科学誌サイエンスに掲載された。宇宙線は人類にとって“やっかいもの”から、今や宇宙の真理を探る上で主役級の存在になった。

ジョディ・フォスターさんが女性研究者に扮(ふん)した97年の米映画「コンタクト」は、こと座の恒星ベガから発信される信号を超大型電波望遠鏡で受信、地球上でスリリングな物語が展開される。

宇宙の中の地球という位置付けは大昔からあったようだが、「コンタクト」のように、人間が積極的に働き掛け人間に利益をもたらす宇宙という考え方は、宇宙線の発見によって推し進められた。科学は経験と積み重ねの学問だとつくづく思う。

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