10月21日、フランスの収集家がオンラインで約3万5000ユーロ(約570万円)で購入したマグダラのマリア像の絵が、イタリア・ルネッサンスの巨匠、ラファエロ(1483~1520年)の作品の可能性が高いことが判明、騒ぎとなっている。
もし、ラファエロの作品であれば、オークションに掛ければ数千万ユーロ(約数十億円)はくだらないとの見方をオークションハウスは示している。
2017年、美術史上最高額約510億円で落札されたダヴィンチ作の「サルバドール・ムンディ」(救世主)は、一般家庭から発見され、最初の競売に姿を見せた時は約13万円だった。美術の都でもあるパリでは、今でも世界中の収集家が宝探しにやってくる。
今年7月、競売人フランク・ピュオー氏は、南仏セヴェンヌ村で個人の遺産の財産目録を作成している時に江戸時代に活躍した絵師、歌川広重の版画3枚を偶然発見した。版画は新聞紙にくるまれ食器棚の奥に眠っていた。
広重はフランスでも人気が高い。1867年のパリ万博が発端だったジャポニスムの中でも浮世絵は人気が高かった。その当時、フランスで流通した作品がフランスの片田舎の食器棚から見つかったのも興味深い。
最後の将軍となった徳川慶喜がパリ万博で日本美術を紹介したのが、西洋美術に決定的転機をもたらしたと言われる。その当時のジャポニスムの足跡が今も残っているのは感慨深い。(A)