米南部テキサス州ダラスでジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されてから60年が経過した。事件は当時、小学校低学年だった気流子にも強い衝撃だった。まして米国民の受けたショックは、計り知れないものがあった。
「なぜあんな素晴らしい大統領が殺されなければならないのか」と子供ながら疑問を持った。しかし、この素朴な疑問は今も解かれていない。犯人とされる元海兵隊員リー・ハーベイ・オズワルドが事件直後、警察署内で人々が見ている前で殺害され、動機や背後関係など真相が解明されずに幕引きされたからだ。
事件後、大統領直属の「ウォーレン委員会」の調査が行われ、オズワルドの単独犯と結論付けた。しかしその後も、疑問は晴れない。
今年6月までにバイデン大統領の指示で、ケネディ暗殺に関する機密資料の99%以上が一般公開された。それでも今月行われたギャラップ社の世論調査では、オズワルドの単独犯説を支持する声は29%にとどまっている。
共犯者がいたのではないかと想像する人が多いのも無理はない。オズワルド殺害も口封じだったのではないかと考えるのは自然だ。これを「陰謀説」として一笑に付す論者やマスメディアは、真相を明らかにするか、疑問への納得のいく説明をすべきだろう。
昨年7月の安倍晋三元首相の暗殺事件も、肝心の致命弾が見つからないなど、さまざまな疑問が残っている。少なくとも米国のような委員会を立ち上げるべきだ。