
雑草とは何だろうか。昔はこう説明された。「人里の植物のうち、とくに農耕地に入り込んで作物とせり合うようになったものが農学上でいう雑草である」(長田武正著、『人里の植物Ⅰ』保育社)。
現代では、「明確な定義はない」と稲垣栄洋さんは言う(『雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々』小学館)。
一般的には「邪魔な草」という意味だが、邪魔かどうかは人によって異なるからだ。ヨモギは畑に生えると雑草だが、薬草としても使うし、草餅の材料にもなる。
それでも雑草にはいくつか特徴があるという。環境はその一つで、人間がつくり出した特殊な環境で適応し、特殊な進化を遂げた植物であること。そして、共通する雑草性というものを持っていること。
その雑草性とは、1、小さな花を咲かせること。花の時期が長くなり、たくさん咲かせることができる。2、種子から花を咲かせるまでの期間が短いこと。すみやかな成長が、雑草として成功できるかどうかの要因になる。
3、環境によって変化する能力が大きいこと。タカサゴユリは1㍍前後になるのが普通だが、環境によっては10~20㌢だったり、5㍍になったりもする。
農業の世界では多様性をなくそうとしてきた。が、絶滅危惧種が増え、多様性の価値が強調されるようになると、見方は変わった。定義には変化した部分としてない部分があるようだ。
(岳)