尖閣「違法ブイ」問題で波紋

中国が石垣市の尖閣諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)内に大型の「海上ブイ」を勝手に設置した問題が波紋を呼んでいる。

ブイは今年7月以降、設置が確認された。この行為は「国連海洋法条約」に明確に違反しているが、政府は撤去に向けて動いていない。外交ルートを通じて中国側に撤去を要請するに留め、進展はない。

11月1日に開かれた参院予算委で、野党議員から「日本独自で撤去すべきだ」との声が挙がったが、上川陽子外相は「国際法に(撤去について)関連規定がない」と慎重姿勢を貫いた。同法には確かに「撤去してよい」との記述はないが、同様に、撤去を禁ずる記述もされていない。中国の行為の違法性が明確である以上、日本が回収・撤去することは主権国家として当然の行動だと言える。

この問題について、与党内から「毅然(きぜん)とした対応をすべき」との声を上げ続けているのが、経済安保担当相の高市早苗氏だ。日本独自の撤去について「違法ではないと思う」と語り、「放置できない問題」と警鐘を鳴らしている。

また、参院議員の青山繁晴氏(自民)が代表を務める「日本の尊厳と国益を護る会」も、首相に対し撤去を提言していると、同氏が自身のユーチューブ動画で明かした。

当事者である玉城デニー知事は、10日の定例会見で「国の動向を注視したい」と述べるに留めている。

9日には、中国公船による今年31回目の領海侵入が確認されるなど、尖閣周辺での中国の挑発行為は年々エスカレートしている。ブイの問題が、中国にとって都合の良い既成事実として利用されることはあってはならない。

青山氏は、撤去の可否は「首相が覚悟できるかどうか」だと語っている。首相の判断に注目が集まる。

(K)

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