【上昇気流】(2023年11月2日)

ニホンツキノワグマ

東北地方の各地で人がクマに襲われるという被害が相次いでいる。今年度最も多い秋田県では10月24日までに57人。次いで岩手県39人、福島県13人、青森県11人、山形県5人、宮城県2人。

こうしたニュースを耳にすると、クマは恐ろしいという気持ちにさせられる。が、どのように恐ろしいのか、姉崎等、片山龍峯両氏の『クマにあったらどうするか』(筑摩書房)を再読してみた。

姉崎さんはアイヌ民族の狩猟伝統を受け継いだ人で、狩猟生活65年、2001年に狩猟を終えた。片山さんは聞き手で質問を繰り出す。姉崎さんにとってクマは、山の全てを教わってきた「師匠」だという。

歩き方も、登る道筋も、食物についても。ここにキノコ採りに行ったアイヌのおばあさんの話が出てくる。クマが風倒木の陰に寝ていて、おばあさんが突っかけてしまう。クマは立ち上がってにらむ。

おばあさんはアイヌの風習に従って逃げず、かしこまるあいさつをする。座ったままでいると、クマは去って行く。姉崎さんもたびたび襲われたが、クマは気の荒い動物ではないという。

クマはなかなか攻撃してこない。「人間が怖い」からだ。だから「逃げるということは一番だめです」「絶対に背を向けない」。クマの本当の姿を教えられると恐ろしさは薄れていく。「昔から地球上に、お前たち生きろと神様から言われて分布して生きているものは、生きていてほしいと思うね」と姉崎さんは願う。

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