【政界一喝】岸田氏に首相を任せられるか

岸田政権が10月4日で発足2年となった。自民党で言うと、1期3年の総裁任期の最後の1年を踏み出したことになる。

岸田文雄首相(自民党総裁)は1993年、35歳で初当選して以来、30年間にわたり、衆院議員を10期務める。2012年からの第2次安倍政権では5年間外相を務め、日本外交を担った。自民党岸田派の領袖としても12年目を数え、日本の政治家として、経歴自体は秀逸に見える。

だが、首相就任と同時に掲げた 「新しい資本主義」については、2年経過した今日でも依然、国民はその意味をよく感得できていない。従って、その「岸田ビジョン」に歩調を合わせ、ともに近未来の日本を築いていくとの共通の自覚に国民は立つことができない。国民の首相との距離感は、第2次安倍政権と比べ遠くなっていると言わざるを得ない。

中東では今月7日、パレスチナのガザ地区を武装実効支配するテロ組織ハマスが、イスラエルを武力攻撃した。イスラエルもこれに報復し、双方の死者は2100人を超える(11日現在)。ハマスは数千発にのぼるロケット弾発砲に加え、グライダーを用い越境する地上部隊も配置した。彼らは 「レイム音楽祭」襲撃で250人の民間人を虐殺した。参加していた一人の若いドイツのうつ伏せ女性の半裸体を見せしめにする猟奇映像も世界を駆け巡った。

非人道的なハマスのテロに対して各国首脳が次々とイスラエルを支持し連帯を示したが、先進7カ国(G7)議長国日本の岸田首相の世界への発信は遅れた。かつ「全ての当事者に最大限の自制を」と述べるにとどまり、毅然(きぜん)としてテロを非難することもできなかった。民間人虐殺に自国民が巻き込まれたと各国に衝撃が走る感覚からほど遠い定型メッセージの発信に、国民からはSNS上で多くの疑問の声が寄せられている。

米国は、ロシアに侵攻されたウクライナへの長引く支援について国論が割れる事態に神経をとがらせる。一方、昨今のイスラエル情勢に対しては、ハマスによる各国のイスラム過激派動員の呼び掛けを警戒して海軍の空母打撃群配備に動いている。米国によるアジアへの戦略的優位性が相対的に弱まる中、台湾有事、すなわち、日本有事の可能性が普段に増して論じられている。いざという国家の危機に瀕した際、岸田首相は自国民を守るべく毅然とした判断力を即刻行使できるだろうか、疑問符が付く。

伸びしろある日本の経済政策において国民の共感を引き出すことができず、平和ボケの日本において今後起こり得る有事の際に、指揮官として不安が残る岸田氏に引き続き首相を任せることができるだろうか。

日本の安全を守りながら、経済の潜在性を大いに引き出すに当たり、国民が選ぶべき首相像と岸田首相のリーダーシップの落差が甚だしい。志ある政治指導者らは、日本の国益のためにいち早くポスト岸田を準備しなければならない。(駿馬)

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