変革の街でも不変のもの ベトナムから

ポストチャイナの最大の受け皿になっているベトナムの急速な成長ぶりが顕著だ。首都ハノイや商都ホーチミン、中部都市ダナンなど、都市部はその恩恵を受けダイナミックな社会変革が見られる。

今夏の誘拐事件も、その変革の一端を見る思いがした。

その事件とは、ハノイで起きた身代金目的のものだった。犯人は庭付き一戸建てが建ち並ぶ富裕層地区を車で流し、自宅前で自転車で遊んでいた子供をさらって電話番号を聞き出し、身代金を要求。その金額が150億ベトナムドン(約9100万円)と、昔では考えられないような金額だった。

両親は警察に相談し、警察の指示通りに動く。まず身代金の値切り交渉に入り、130億ベトナムドン(約7900万円)に引き下げられた。そうした大金をキャッシュで数時間のうちに準備できる富裕層の金回りの良さも驚きだったが、8000万円近い金額の紙幣がリュック一個に詰め込まれたことに驚かされた。

昔、月末の給料日には銀行前にトラックが並び、従業員の給料を荷台いっぱいに積み込んでいたのを見たことがある。高額紙幣がなく、給料は札束で支払われていた。

なお、身代金を受け取り「息子は後で解放する」と言い残し、車で立ち去ろうとした犯人を母親は許さずボンネットに飛び乗り抵抗。警官がこれに続き無事、子供は保護され犯人は逮捕されている。ベトナムの女の強さは有名だが、こちらの方は昔から変わっていない。(T)

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