【上昇気流】(2023年10月6日)

ヒグマの親子=2022年5月25日、北海道斜里町

秋田県美郷町の畳店の作業小屋に立てこもったクマ3頭が捕獲され、駆除された。秋田県庁には「なぜ殺したのか」と県外から苦情の電話が殺到しているという。捕獲用の檻(おり)に入った子グマをテレビで見たが、確かに複雑な気持ちになる。

とはいえ、山に帰しても、またやって来る可能性は高い。小屋の中に丸1日いて、檻の中へおびき寄せるためのハチミツまで嘗(な)めたのだから。出没した場所は近くに認定こども園もあり、やむを得ない措置だろう。

秋田県でクマに遭遇した人が被害に遭うのは例年だと10件ほどだが、今年は既に30件に達している。県は今年4月以降、捕獲したクマやイノシシなどは山に帰さずに駆除する方針を取っている。

クマの出没や人の被害が中部から東北・北海道にかけて相次いでおり、クマ出没警報・注意報が出されている。クマが人里近くまでやって来るのは、エサのドングリやブナなどの不足によるところが大きい。今年はブナが凶作で、他の木の実も同様という。

近年クマの出没が増えてきた背景には、気候変動による環境の変化もあるのだろう。これまで人里との境界となっていた畑などが高齢化で耕作放棄されるなど、里山の荒廃を指摘する声もある。

無用な殺生を防ぐには、野生のクマが人間の生活圏に近づかないようにするしかない。クマの行動変化の要因を明らかにし対策を考える必要がある。気候変動、環境の変化の原因をつくった責任は人間の側にある。

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