寝台特急の料理人の流儀

トワイライトエクスプレス(2013年1月6日)(Wikipediaより)

もうすぐ、秋の行楽シーズンになる。あるテレビ番組で懐かしい豪華寝台特急の特集をしていた。子育て世代には高嶺(たかね)の花だった大阪駅~札幌駅間で運行されていたトワイライトエクスプレス。乗客は子育てに一段落した裕福そうな高齢者が多いようだった。

走る超豪華ホテルとも言われ、スイートからBコンパートメントまでの多彩なルームプラン、フランス料理のフルコースディナーが楽しめ、海側を向いたソファが並ぶサロンカーなど大阪を出発して日本海に沿って北陸から東北地方を縦断し、青函トンネルをくぐり、北の大地へと夢を運ぶ。

テレビで紹介していたのは、豪華レストランの2人組シェフの生活ぶりだった。長い旅路の間に乗客に向けた豪華フランス料理を数度提供する。揺れる列車の中での調理は大変で、仕事終わりには足腰がガタガタになる。揺れる車内で気を抜くと、火傷(やけど)を負ったり、料理をひっくり返すなどの“惨事”が起きる。

50歳手前の2人のコックが旅路の料理を提供していた。「先輩と後輩」とも言える間柄だったが、仕事後の暮らしぶりは両極端に違った。

先輩は仕事を終えての帰り道、電車・バスに乗る時も足腰を鍛えるために立って過ごす。休みの時もウオーキングで足腰がなまらないような生活をしていた。後輩はリラックスすることを重視して座席に座り、趣味のクラシック音楽を聴きながら本を読む。数年後に運行を終えるまで強い足腰と、モチベーションを保ちたいという思いは両者とも同じだった。

筆者もそうだが、60歳半ばを過ぎると、電車に乗ると、つい、空席を探してしまう。つい最近も、杖(つえ)を突きながら老齢の夫婦が電車に乗って来た。隣にいた20代と思われる若者がサッと席を譲った。筆者の方は、なかなか体が動かないし、気持ちもついていかない。若者たちの行動力に頭が下がる思いがした。

(和)

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