【上昇気流】(2023年10月2日)

半導体

政府がこのほど示した経済対策の五つの柱は、急激な物価高や人口減少への対応、国内投資促進などで、このうち物価抑制は短期的には可能かもしれないし、人口減少は長期的な視野で臨むのだろう。

国内投資の促進についてはどうか。半導体や蓄電池の国内生産支援に向けた設備投資の税制優遇などを盛り込んだ対策が今月末に発表されるという。

確かに日本は1970年代、政府と実業界が協力して技術の発展方向を正しく見定め、コンピューターと半導体へ集中的に投資。その分野を世界的レベルで競争できるまで引き上げた。

ところが今、半導体、脱炭素、バイオ、量子、通信などハイテク技術の開発で欧米、中国、一部新興国などがしのぎを削り熾烈(しれつ)な競争を繰り広げている。日本は、コンピューター大手のIBMなど米国だけとの技術競争ではなくなった。

わが国がその発展方向を見定め、先取りして取り組む具体的な技術がなかなか見えてこない。ごく一部の大手企業を除き各企業は経営戦略で苦心惨憺(さんたん)しているが、それを決めるのは結局、市場なのだろう。今回の政府の成長分野を絞り込んでの投資促進策は上滑りしないか。

70年代の飛躍について村山裕三著『テクノシステム転換の戦略』は「当時の技術者を技術開発に駆り立てたのは、『技術立国』に日本を押し上げようとする熱意(だった)」と。岸田文雄政権は「技術立国」の旗を掲げ邁進(まいしん)する国家的機運をつくり出すことが必要だ。

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