
東北大(宮城)が「国際卓越研究大学」第1号候補に条件付きで選定された。政府は創設した10兆円規模の大学ファンドを通じて支援する。
東北大には、世界に先駆けて磁性鋼であるKS鋼、新KS鋼を発明した本多光太郎がいた。明治以来、研究第一というわが国の工学の伝統が根付いている。また、かのアインシュタインは来日の際に東北大訪問を望み、帰国後に「仙台は学術研究に最も向いた都市であり、恐るべき競争相手は東北大学である」と話した。
さらに、当代きっての「光通信の父」「ミスター半導体」西澤潤一氏(1926~2018)がいた。PINダイオード、静電誘導トランジスタ、光通信の基本3要素に関わる技術開発など、世界の半導体研究の黎明(れいめい)期を支えた。
以前、東京での講演会でお会いしたが、科学技術、教育分野だけでなく国の行く末を案じる国士だった。工学部の元教授によると「(総長時代は)研究費の捻出や差配などで采配を振るい苦労された」。法人化される大学経営の先を見通し、産業界に開かれた各研究室のテーマを探るなど研究の質を高めた。
東日本大震災時は工学部の設備が被害に遭い、紛失したデータも少なくなかったが、程なく研究を再開。東北復興のシンボルの一つとなった。
「卓越大」が目指すのは、世界最高水準の研究環境の整備、人材の育成、独創的な国際的研究力の向上。大学の復権を期し、東北大に白羽の矢を立てたのは正解だろう。






