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東大名誉教授の早野龍五さんは学生時代の夏のある日、こんな経験をした。東京・白金台にあるサイクロン(放射線発生装置)の実験棟でアラームが鳴り響き、「すわっ、放射線漏れか」と騒然となった。測定器で調べると、施設内に異常はなく、外の濡れ落ち葉や地面が汚染していた。
とりわけ雨に濡れた技官の髪の毛から異常に高い数値が出た。それは核分裂以外では生じ得ない放射性物質で、どこかの国が核実験をやったに違いないと確信した(「『科学的』は武器になる」新潮社)。
それは1973年6月27日の中国の核実験だった。放射性物質を含んだ大気が日本列島に流れ「核汚染雨」をまき散らしたのだ。中国は64年10月、東京五輪の最中に最初の核実験を行って以来、実に23回にわたって大気圏内での核実験を強行した。
2011年の東京電力福島第1原発事故後、横浜市で放射性ストロンチウムが確認され、放射性物質が福島から首都圏まで拡散していると一部メディアが騒ぎ立てたことがある。だが、それは中国の「核実験の遺物」で福島第1原発とは無関係だった。
先に海洋放出された処理水にはトリチウムが残るが、これは自然界にも存在し人体への影響はほとんどない。しかも安全基準を大幅に下回らせての放出だ。
これに対して「核汚染雨」をまき散らした中国と、それには黙りこくっていた日本共産党が「汚染水」と罵っている。どの面下げて、とはこのことだろう。