【上昇気流】(2023年9月15日)

ホタテ

30年ほど前、取材で北海道のオホーツク海に面した漁村を訪れた。食堂に入ると、メニューにホタテ・ラーメンとあった。店主が申し訳なさそうに言う。「ホタテ味のスープですが、ホタテの身は入ってないんです」。

まあいいやと、同僚記者と一緒に食べたが、やはり物足りなかった。ホタテ養殖は、貧乏だったその村を北海道有数の裕福な村に変貌させた。このドル箱商品を、残らず道内や日本各地に出荷していたのだ。

中国による日本水産物全面禁輸で、国内生産量の35%が中国・香港に輸出されていたホタテの新しい販路の開拓が急がれている。30年ほど前は出荷先も国内がほとんどだったが、中国が豊かになり、日本水産物への人気の高まりで、いつの間にか最大輸出先になった。

新しい輸出先には、台湾なども挙がっているようだ。一方で国内流通の拡大も進められている。北海道の道庁舎の食堂ではホタテのメニューを新しく用意した。これまでより少しでも安く食べられるようになり、国内の水産物加工業の再建に役立つのであれば、中国の禁輸も悪いことばかりではない。

その中国では当局の批判キャンペーンで、国民には処理水についての正確な情報が伝わっていない。中にはとんでもないフェイク情報がネット上で流れている。

海流のため、中国近海にも影響が出ると早合点し、中国産の水産物まで売れ行き不振となって水産業者が頭を抱えているという。とんだブーメランだ。

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