待機児童解消の先に起こる事

9月1日、厚労省の一部業務を引き継いだ、こども家庭庁が保育実施状況調査結果を公表した。待機児童は過去最少の2680人、6年前の10分の1に激減した。待機児童問題はほぼ解消し、親が希望すれば預けられる保育園全入体制が整った。

男女共同参画の観点で言えば、子育て時期の女性就労率が80%近くに達し、M字カーブがほぼ解消されたのでプラス評価である。

一方、合計特殊出生率は下がり続け、昨年は過去最低の1・26、出生数も過去最少の約77万人となった。仕事と子育ての両立支援に最も力を入れてきた東京都は出生率1・04と最低位にある。少子化の点では効果なく、マイナス評価である。

保育の現場から見れば、約100万人分の保育の受け皿を増やしたものの、保育士確保が追い付かず、保育士による虐待や保育事故など保育の質が問われる事態となった。今後、少子化で保育の需要が減り、企業型小規模保育施設など閉所する施設が増えると予想される。

それでも、こども家庭庁は待機児童解消の方針は変えていない。

親が育休を最大限活用し、より良質の保育サービスを提供してくれる施設に子供を入所させようと、特定の施設に入所希望が殺到するため、供給過剰でも待機児童はなくならない可能性があるからだ。懸念されるのは、子供の都合よりも親に都合の良い保育サービス競争が加速することである。

8日に、こども家庭庁の小倉大臣は「こども誰でも通園制度」の検討会で実施方法などを学識経験者で話し合い、12月に方向性を示すとした。

同制度は就労要件を問わず、時間単位で利用できる制度だが、親教育の視点がなければ便利な保育サービスになってしまう。子供が親と過ごす権利に配慮し、「こどもまんなか」という看板にふさわしい制度になることを期待したい。

(光)

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