ご近所から訃報が届いた。
来年3月に百寿を迎えるはずだった方で、今年の春先まで趣味のグラウンドゴルフに興じておられた。
それも、自宅から町の競技場まで、毎回15分ほどかけてミニバイクを運転されていた。
時折、その姿を車窓から見掛けたが、いつも交通ルールをきちっと守り、高齢者の見本になるような運転だった。
それでも、家族は事故を心配して、「そろそろやめてはどうか」と説得され、夏になる前に免許を返上された。
この年齢になるまでかくしゃくとされていたのは、若い頃、遠洋航海の船員として、機関関係に携わっていたことが大きいようだ。
50代で奥さんに先立たれ、それを期に陸に上がり、息子さん家族と暮らしていた。
グラウンドゴルフと家庭菜園に新たな生きがいを見いだされ、自宅の棚には各種大会で入賞したトロフィーが並んでいた。
近頃は週2回、介護施設のお世話になる程度で、周囲の誰しも「百歳まで大丈夫!」と疑わなかった矢先のことだった。
9月に入り、突然の訃報が新聞に載った。連日の猛暑が高齢の身には厳しかったようだ。逝去の翌日に通夜、そして葬儀と続いた。
葬儀を執り行った浄土真宗の導師は「気さくな方で門徒の集まりには欠かさず参加され、みなさんをまとめてくださった」と謝意を捧(ささ)げ、合掌した。
(仁)