世界幸福度がトップで、海外からの移民にも寛容と思われたフィンランドで、今までほとんど表面化してこなかった「人種差別」問題が、この夏、論争になった。
「反移民」を唱える極右のフィン人党が政権に加わったことで、メディアはフィン人党の閣僚たちの過去の「人種差別」的発言・行動を報じ、6月に発足した政権においてすでに2人の閣僚が辞任した。
また、今月には国会が始まり、野党によるさらなる閣僚に対する不信任案が提出され投票が行われる予定だ。政府としては頭の痛い政権出発となるとともに、この夏は対応に追われた。
さらにこの夏の期間、「人種差別」反対デモが繰り返され、9月3日に行われたデモには約1万1000人が参加。政府と議会に「人種差別」との戦いを言葉から行動に移すよう要求した。デモの主催者団体「エンド・ザ・サイレンス!」によれば、文化、社会、政治、人権団体など100を超える団体がデモへの支援をしたという。
夏は国会議員たちのバカンス期間だったが、与党は政権の「人種差別」に対する見解と方針の作成で追われ、移民を含む多くの人たちは、「移民」に対する締め付けを打ち出した政権に対する抗議運動を繰り返した。議員たちの中にも過去の「人種差別」発言問題がメディアによって表面化することを恐れ、自ら謝罪する夏となった。
これも、ソーシャルメディアの普及によるのかもしれない。(Y)