来月、アメリカで出産予定の息子夫婦がベビーシャワーの写真を送ってきた。「ベビーシャワー」は妊娠8、9カ月ごろに自宅や教会に親族や友人が集まり、皆で妊婦さんと赤ちゃんを祝福するアメリカ発祥の出産セレモニーだ。息子の嫁は「みんなに祈られていると思うとずいぶん気持ちが楽になる」と言っていた。
とは言っても、アメリカでの出産は相当厳しい。出産費用が日本の3~4倍と高い上に帝王切開になると費用が跳ね上がる。加えて通常分娩(ぶんべん)なら1~2日で退院させられる。
そんな出産事情もあって、夫の育休は必須である。ところが、アメリカの育休制度は使い勝手がいいわけではない。12週間の取得が可能だが、基本的に給与補償はない。そのため経済的理由などから有給休暇と育休を併用したり、ワーキングマザーなら4人に1人が出産後2週間以内に職場復帰している。仕事と出産・育児の両立がいかに厳しいかが分かる。
一方、日本は180日まで給与の67%、181日目からは50%が補償される。しかも対象年齢は原則1歳半までだが、最長2歳まで延長可能だ。仕事と子育ての両立が難しいと言われる日本だが、育休制度は先進諸国で最も充実している。
それなのに、男性の育休取得率は17%と低い。しかも育休期間は半数が2週間以内と短い。男性の育休に対する職場の理解のなさ、仕事の評価への影響や人の目を気にして、躊躇(ちゅうちょ)する男性も多いと聞く。
その点、仕事より個人、家族の時間を大切にするアメリカ人は、出張が多過ぎるといった理由で簡単に転職したりする。
仕事や経済優先でやってきた男性サラリーマンも、在宅ワークが広がり若い世代の意識は変わりつつある。育休は育児に関わることで自己成長できる「育自(いくじ)」期間である。そんな理解が社会に広がっていけば、男性の育休も欧米並みになるのでは。
(光)