トップコラム【上昇気流】(2023年8月28日)

【上昇気流】(2023年8月28日)

2日、リマの博物館で公開された新種のクジラの仲間「ペルセトゥス・コロッスス」の脊椎部分(AFP時事)

英科学誌「ネイチャー」は、南米ペルーで国際研究チームが発掘した化石に関する論文を発表し、約3800万年前に生息していた古代クジラは推定体長20㍍、体重は最大340㌧に上ると伝えた。とてつもない大きさで肝をつぶす。

見つかったものの一つ一つの重さは100㌔以上で、その正体はクジラの脊椎の化石。想像図では胴体の大きさに比べ頭部が異常に小さい。

「生物の大きさは多様であり、どの生物にとっても重要な特徴となっている」(大島靖美著『生物の大きさはどのようにして決まるのか』)。われわれの日常経験でも「サイズ」が個々の生物を区別する具体的な目安となるのはよく分かる。

同書によると、大きさの違いについて「(哺乳動物では)細胞の大きさはほぼ同じであり、ほとんど細胞数の違いによる」。しかし、種ごとになぜそうなのか「分子レベルでのその具体的な理由は、残念ながらまったくわかっていない」という。

3800万年前と言えば、有史時代のはるか前。破格の大きさの生物がいた理由は何か。化石を分析する地質学的な手法でしか研究できない時代だが、当時の生物もその時と場を得て、地球上での役割を担い生まれてきたとみるべきだろう。

現存する陸上の野生動物で最大の種は象。現在、野生の象はアフリカゾウとアジアゾウが知られているが、いずれも絶滅の危機にさらされているようだ。残念ながら、同時代の人々の注意はなかなか向かない。

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