【上昇気流】(2023年8月22日)

石川県西田幾多郎記念哲学館 wikipediaより

日本を代表する哲学者、西田幾多郎の出身地石川県かほく市にある石川県西田幾多郎記念哲学館。西田ゆかりの品を展示しその業績と思想を紹介、さらに哲学とは何かをテーマにした博物館だ。世界的な建築家、安藤忠雄氏の設計によるもので、来館者を哲学的思索へと誘う建築になっている。

最寄り駅はJR七尾線の宇野気駅。地元の人は「うのけ」と「の」にアクセントを置いて発音する。昔は一つ手前の駅で列車が動き出す瞬間、車内アナウンスの「次はうのけー」が「うごけー」に聞こえ、駄洒落(だじゃれ)を言っているようで面白かった。

ところが先日、哲学館を訪ねるため七尾線の新型車両に乗ると、車内アナウンスが「うのけ」の「け」にアクセントを置いていたので違和感を覚えた。

駄洒落の面白さがなくなってしまったことはともかく、明らかにネイティブのアクセントと違っているのはどうかと思う。

原因は、AI(人工知能)を使った音声にあるのだろう。方言にはそれぞれ独特のアクセントがある。これで地元の人々のアクセントが変わるとは思わないが、風土と歴史が生んだ人々の息遣いは大切にしたい。

哲学館の展示では、晩年の西田と第四高等中学校時代からの友人、仏教学者の鈴木大拙や倫理学者の山本良吉との対談のレコード盤を聞くことができる。同郷の友と金沢アクセントで普遍的なテーマについて語っているのが面白い。しっかりした個なくして普遍は語れない。

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