名前の意味もいろいろ モンゴルから

「キラキラネーム」という言葉が市民権を得て久しいが、モンゴル人の名前にも「星」「花」「虹」「永遠」「未来」といったかわいらしいものが多い。もう一つ多いのは、仏教由来のチベット語の名前だ。これは聖書やコーランの登場人物の名前から名付けるクリスチャンやムスリムの人々と同じ感覚だろう。高名な僧侶に名付け親を依頼することも珍しくないようだ。

面白いのは、生まれた曜日が名前になるケース。元横綱の白鵬関のモンゴル名はダバジャルガルで、和訳すると「月曜日の幸せ」。同じく元横綱の日馬富士関の本名はビャンバドルジ。「ビャンバ」は土曜日、「ドルジ」は仏教系の名前である。恐らくどちらも、生まれがその曜日だったのだと思われる。

変わった名前もある。「熊」や「犬」など、動物の名前にしてしまう場合。さらには「名無し」「人でなし」というのも。かつて筆者が覚えたてのモンゴル語で名前を訪ねた相手が「ネルグイ(名無し)」と答えた時には、「そんなに私に名前を教えたくないのか」と落ち込んだものだ。

これにはれっきとした理由があって、特に子供がなかなかできなかったり早死にしてしまったりする家系で、子供が悪霊に連れ去られないようにするため「人間じゃないよ」とアピールするような名前を付けるのだという。同じような理由で、男の子に女性名を付ける、またその逆もよく見られる。一見変わった名前も、子供を守りたいという親心からなのだ。(T)

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