【上昇気流】(2023年8月18日)

無縁墓

お盆に能登半島の田舎に帰省し墓参りをしたが、また無縁墓が増えたようだった。気流子の縁者が眠る浄土宗のお寺自体、後継ぎがなく、無住寺となっている。今は隣の寺に管理が委託されている。

寺のある一画は、高台に16カ寺が集まっており、「山の寺寺院群」として近年、観光コースにもなっている。加賀藩祖、前田利家が奥能登地方から攻められた時を想定し、いざという時の防御陣地とするため、浄土真宗以外の寺を集めたのだという。

浄土宗、曹洞宗、日蓮宗などの寺院が、里山に点々と存在する。寺々をつなぐ道は「瞑想の道」と名付けられ、杉木立が鬱蒼(うっそう)と生い茂って、なかなか風情がある。昔は寺が多いこと以外、特別な場所とは思わなかった。しかし、全国の地方都市でこんな場所はそうないことを知って、地元の人々の見る目も変わった。

長年そこに住む人にはありふれた風景と思われていたものでも、実は全国的にも珍しくユニークな価値を持つものは少なくない。地方色の豊かな日本は、そんな所が多い。地方再生の第一歩は、地元の人が地元の価値を知ることだ。

散策コースには、利家の父母の菩提寺、あるいは長谷川等伯描く達磨図を所蔵など、寺々の由緒を示す案内板も作られている。

このように寺々は、観光スポットとして一頃とは見違えるように周辺が整備された。ただ無縁墓の増加が地方の将来の姿を暗示するものとならないように、何かしなければならない。

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