
「父は朝はやく起きるとお日様に向かって柏手を打って、小岩から深川のお店に出かける時は切り火を打ってお清めをする人だった。見えないものにも命があるし、見えない世界にも命があると言われて、私たちは育ちました」。
童話作家の角野栄子さんが「見えない世界からの贈り物」(レイチェル・カーソン著『センス・オブ・ワンダー』新潮文庫所収)の中で書いている。角野さんは東京・深川の商家に生まれ、3歳の時に引っ越して23歳で結婚するまで小岩で過ごした。
当時、小岩は田んぼだらけで、ザリガニやトンボなど自然を友にいたずらし放題だったという。父親がよく聞かせてくれた話は、驚きや想像を掻(か)き立て、物語を読むことにつながった。
「おまじないのような、効率や合理性とはほど遠いものが、想像につながるのです」と言い、本を読んで不思議を感じる心、センス・オブ・ワンダーを喚起してほしいと訴える。想像から創造が始まっていった。
東京都江戸川区の「なぎさ公園」内に「魔法の文学館」(江戸川区角野栄子児童文学館)が11月に開館する(小紙8月10日付「パトロール」)。角野さんが選んだ1万冊の児童書が用意され、自由に手に取ることができる。
外観は花びらが広がるような形の屋根で、館内の展示エリアには「魔女の宅急便」の舞台コリコの町や、角野さんのアトリエを再現するそうだ。角野さんが創り上げた物語の数々、そのルーツを発見できるに違いない。






