トップコラム【上昇気流】(2023年8月16日)

【上昇気流】(2023年8月16日)

インタビューに答える栗田照久金融庁長官=東京都千代田区

ビッグモーターと損害保険会社との不明朗な関係に関連して、損保大手4社(東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険)に企業向けの契約で価格調整(一種のカルテル形成)がなされた疑いが発覚。金融庁から保険業法に基づく報告徴求命令が出された。

損保事業の場合、配当金の財源となる剰余金の主要な源泉は危険差益、利差益、費差益などで、うち危険差益は災害などが起きるリスクや確率に関するもの。この予定損害率を設定するための公式を使い利率が決められる。

ところが、その公式は脇に置かれ、損保と代理店間あるいは各損保間で顧客そっちのけの談合が行われ、利率が決まってしまう。“そんなことはよくあることだ”となれば、損保の信用はがた落ちになるに違いない。

保険業界はこれまで損保だけでなく生命保険でも、不払いなどの不正がしばしば起こってきた。そのたびごとに責任者が叩頭(こうとう)して不祥事防止を約束し、顧客の批判をかわしたが、不満がくすぶっている。それでも個人の場合、保険会社との間で“顔を見合う”やりとりの契約はできるという安心感はあった。

保険業は明治期に相互扶助という高い志を持って出発。戦時を経て国民の多くの支持を得てきた。

しかし、個人保険の保有契約高は1996年度をピークに減少傾向となっている。保険への期待度の落ち込みに対し、業界はかなり鈍感だと言えまいか。

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