安倍晋三元首相一周忌を機に産経新聞は、山上徹也被告の単独犯への疑問を「陰謀論」として一蹴する記事を掲載した。さらに「月刊正論」9月号では、衆院議員で日本医科大学特任教授の松本尚氏が「救命救急のプロが正す安倍晋三暗殺『陰謀説』」を寄稿している。
松本氏は二十数年間にわたり500例を超える重症外傷の外科手術を経験してきた「外傷外科領域の『トップナイフ』であったと自負する」人物。「世間に出回っている言説の誤りを指摘し、第三者による犯行説などのいわゆる『陰謀説』と呼ばれる言説の終止符を打ちたい」としている。
問題にしたのは、安倍氏に命中した2発の弾丸のうち1発が見つかっていないこと、心臓の損傷について警察と救急救命医の発表が食い違うことの2点。
開胸、開腹手術を行った場合は「目の前は一瞬で血の海になる」など、論考は松本氏の外科医としての経験の豊富さを物語るものだ。しかし、安倍氏の命を奪った銃弾を「小さな弾丸」と述べていることに「おやっ」と疑問が起きた。
弾丸は約1㌢の大きさであったことを、昨年7月20日開かれた自民党の治安・テロ対策調査会で警察庁幹部が明らかにしている。松本氏は、警察が手術で出た廃棄物の全てを持ち帰ったが、弾丸は発見できなかったとも書いている。
パチンコ玉に近い大きさの弾丸が見つからなかったことは疑問をさらに深める。松本論考は到底「終止符を打つ」ものとなっていない。





