埼玉県行田市の「古代蓮の里」で、蓮の花が見頃を迎えたという記事を見たのは6月下旬。だが、観蓮会は各地で続いている。東京都の府中市郷土の森公園にある修景池では8月中旬まで見頃だ。
ハスの開花は3日間で、長くはないが、ここには30種類以上のハスがあり、開花期も異なっている。白、紅、黄など色とりどりで、花型も一重、半八重、八重。一番早いのが古代蓮なのだ。
ある年の8月初旬に、宮城県の登米市と栗原市にまたがる伊豆沼・内沼で「はすまつり」があり、小型遊覧船に乗って観蓮会を楽しんだことがあった。舟乗り場が3カ所あったが、年によって運航しない所もあるようだ。
ここは渡り鳥の飛来地で、渡り鳥の観察センターもあるが、そっちは閑散としていた。細い野道を歩いて沼に到(いた)り、チケットを買って舟に乗り込んだ。定員10人ほどだが乗ったのは7人。
出発点にハスはないが、エンジンが動き、舟が動いていくと、その先がハスの林で、中に舟の走る細い道が付いている。舟の両側にハスの葉と花が迫ってきて、目の前を通り過ぎ、去っていく。
花は莟(つぼみ)もあれば、開花したものも散り始めたものもあって、全ての時間が同じ空間に表現されている。薄い桃色の花々は目も覚めるような美しさだ。林を抜けると水面が現れ、赤い布を付けた棒が道しるべとなり、また林に入る。ハスの花は各地で見てきたが、広大な空間で見たハスの葉と花は伸び伸びとしていた。