国立大学理学部の「女子枠」

理系女子

7月10~17日、都内で日本初の「国際物理オリンピック」が開催された。日本は香川県大手前丸亀高校3年の今村晃太朗君、兵庫県灘高校3年の田中優希君、2人が金メダルを獲得した。科学低迷が囁(ささや)かれる中、日本の高校の活躍ぶりは嬉(うれ)しい。

国際科学オリンピックは高校生対象に数学、物理、化学、生物学、地学、地理、情報の7分野の国際的な科学コンテストで、分野ごとに各国5人が参加し、科学力を競う。

物理の参加国は80カ国以上に上り、近年は中国、韓国、ロシアが上位にある。

日本の金2人は6年ぶりだが、中国、韓国は参加者5人全員が金を獲得している。韓国は5人のうち4人がソウル科学高校、1人が京畿科学高校出身というから、国主導の英才教育の成果と言えよう。

教育システムが違うので比較はできないが、国際オリンピックの実績、経験をバネにハーバードなど海外のトップ大学を目指し、研究者となっていくわけだから、中国、韓国の活躍は無視できない。

気になるのは日本は女子参加が低迷していること、そして国内予選への応募者も減る傾向にあること。

昨年11月、東京工業大学が来年度入試に「女子枠」を設けることを決定した。女子比率について現在の13%から20%超を目指すという。名古屋大学も「女子枠」を設ける方向だ。

「女子枠」については、「逆差別」「学力低下」「公平性・平等性が損なわれる」との批判は強い。

ただ、医学歯学系の大学が男子受験生に下駄(げた)を履かせてきたことや理系女子比率の低さを考えれば致し方ないのかもしれない。

今年5月25日、10の国立大学理学部長が「ジェンダーバランスのとれた環境を実現し、多様な人材を育成する」との声明を発表した。果たして国立大学理学部の「女子枠」はどうなのか。そう簡単に議論は収まりそうにない。

(光)

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