トップコラムアヒル取り競争で物議

アヒル取り競争で物議

沖縄の伝統的な海の祭りとして「ハーリー」が有名だ。那覇ハーリーや豊見城ハーリーなど、各地の港や河口でゴールデンウイークから夏の時期にかけて行われる祭りで、爬龍船(はりゅうせん)と呼ばれる小型の船を力強く漕(こ)いで競争する光景は勇ましい。

古くから漁師の町として栄えてきた糸満市では先月21日、糸満ハーレー(糸満では伝統的な呼称「ハーレー」を使う)が4年ぶりに開催されたが、恒例イベントの一つ「アヒル取り競争」が物議を醸している。

アヒル取り競争は、糸満ハーレーの余興の一つで、海に放たれた20~30羽のアヒルを捕まえようと、参加者が一斉に海に飛び込み、追い掛けるイベント。

これについて動物愛護団体のNPO法人アニマルライツセンター(東京都)の岡田千尋代表理事らが今月10日、沖縄県庁で記者会見を開き、「アヒル取り競争は動物虐待にあたり、動物愛護法に抵触する疑いがある」と主張した。岡田氏らは同日までに大会の実行委員長などを刑事告発したと発表。

岡田氏は、これまで3度、文書などを通してアヒル取り競争の中止を求めてきたが、改善に至らなかったため、刑事告発に踏み切ったという。これに対し、主催者側は、アヒルへの暴力行為などがないよう十分対策をしているとして反論している。

糸満ハーレーは500年以上の歴史を持つ祭りで、アヒル取り競争も「伝統行事」として守られ継承されてきたものの一つだ。岡田氏は「伝統は時代に合わせて改善すべきだ」と主張しているが、SNS上では「他人の地域の文化に口出しすべきでない」といった批判的な意見が多く見られる。

そのうち「馬が可哀想(かわいそう)だから乗馬禁止」や、「蚕が可哀想だから絹糸禁止」などの意見も出てくるのだろうか。(K)

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