トップコラム【上昇気流】(2023年7月11日)

【上昇気流】(2023年7月11日)

昨日は関東を中心に気温が上昇、東京都心では今年初めて猛暑日を記録した。東京、埼玉、千葉など9都県では「熱中症警戒アラート」を発表。梅雨が明けないうちにこの暑さ、先が思いやられる。

昔は夏の暑さを凌(しの)ぐために、いろいろな工夫がされた。打ち水をしたり、軒に風鈴をつるして耳からも涼を取ったりした。夕方になると、庭先や家の前に縁台を置いて夕涼みという風景が見られた。

京都の夏の暑さは有名だが、京の町家では夏になると障子戸を外し、風通しのいい「葭(よし)障子」に模様替えする。葭簀を使った戸は日本各地にあって、北陸地方などでは簾戸(すど)と呼んでいる。一般の住宅からはほとんど消えたが、金沢ではお茶屋や料亭などで今も使われている。

NHK『美の壺』の「和の光満ちて 障子」では、金沢のお茶屋で障子から簾戸に模様替えをする様子が紹介されていた。なかなか風情のあるものだ。ただ昔はこれでそれなりに暑さも凌げたのだろうが、近年はクーラーなしではやっていけない。

夏は亜熱帯気候に近くなった日本から、伝統的な夏の風物詩がだんだん廃れていくのではないかと心配だ。それでも、簾戸には見た目の涼しさがある。日本ならではの涼の文化は残していきたい。

涼を求める夏の風物詩といえば花火である。新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で中止が続いていたが、今年は東京・隅田川の花火大会も4年ぶりに開催される。今年こそ花火の夏を楽しみたい。

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