【上昇気流】(2023年7月8日)

いま日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士道精神であり、「国家の品格」を取り戻すことである――。きょうの安倍晋三元首相の命日に当たって、数学者の藤原正彦氏が平成17年に著した『国家の品格』(新潮新書)を思い起こした。

藤原氏は日本人の誇りうる情緒として「懐かしさ」を挙げている。これを基本に初めに家族愛、その延長に郷土愛、この二つの延長に祖国愛があり、この三つがしっかり固まって人類愛がある、と「四つの愛」を説いていた。翌18年に誕生した第1次安倍政権はその体現を目指したように思う。

「美しい国、日本」を掲げ、真っ先に改正教育基本法を成立させた。同法には家庭教育の重視を盛り込み「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」を教育目標に据えた。

第1次政権は“青臭かった”とされるが、決して色褪(あ)せない。その精神を基盤に後の現実路線と称される第2次政権があり、さらにその先に「日本を、取り戻す」を視野に入れているからだ。

「一粒の麦、地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん、もし死なば、多くの実を結ぶべし」(新約聖書ヨハネ伝)。安倍氏は多くの実をもたらす一粒の麦であった。

そう後世に称されてこその供養である。その実は言うまでもなく、日本人の誇りを取り戻す憲法改正である。

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