脱炭素化を支援するため2021年、欧州大手保険8社で設立された「ネットゼロ・インシュアランス・アライアンス(NZIA)」。これに加盟していた国内大手損保、SOMPOホールディングスが脱退した。
環境への悪影響が懸念される事業体の保険引き受けを停止するというNZIAの措置に、米国当局などから反トラスト法(独占禁止法)違反を指摘されたことがその理由のようだ。既に欧州の損保数社も脱退している。
22年6月28日付のSOMPOホールディングスのニュースリリースでは、NZIAへの加盟などについて「人権課題を含めた『社会的正義の実現』」のためと、顧客にも訴え掛けていた。結果的に、NZIAを巡る欧米企業の事情やその動きに翻弄(ほんろう)されてしまった。
NZIAも戦略の練り直しが必要だろう。一方、日本は地球環境問題でもっと自ら主張し、その解決にイニシアチブを取ってほしいものだ。
欧米の消費文化に対し、日本は節約文化。国土の3分の2は森林で、歴史的に自然との共生意識がずっと根付いてきた。豊かな経済の恩恵享受と自然との共生・調和が矛盾しない解決策を打ち出すべきだ。
われわれが使う割り箸について一時、海外で「日本は資源の無駄遣いをしている」という批判が起こった。しかし国産材で本来捨てられる端材や間伐材を再利用しているため、「環境に優しい商品」であることが明白になり、その“説”はすっかり聞かれなくなった。