【上昇気流】(2023年6月21日)

交通事故件数や死傷者数は減少傾向にあるが、幹線道路の大事故は少なくない。北海道八雲町の国道5号線ではバスとトラックが衝突し、5人が亡くなった。

事故現場は札幌市と函館市を結ぶ片側1車線で、周囲に畑などが広がっている。緩やかなカーブで見通しは良いのに、トラックが対向車線をはみ出し、高速バスがよけ切れなかった。

この道路では2016年、乗用車と大型トラックが正面衝突し、女性2人が死亡。04年には、乗用車が対向車線を越えて大型ダンプカーと正面衝突し、4人が死亡する事故が起きている。なぜか。

福田和夫元警察大学教授によると、事故原因を道路交通法の違反別に調べると、その内容は①わき見運転②漫然運転(ぼんやり運転)③前方不注視運転④動性不確認運転(大丈夫だろうと思い込んだ油断の事故)――などがある(『交通事故・実態と悔恨』)。

ただし「『わき見』も『漫然』も事故になる前の内心にある運転者の不適切な運動態度であって、これを事前に外から危険だ、違反だと指摘するのはむずかしい」(同)。

つまり、事故直前にドライバーの心は、通過する場所の環境に相当支配されていることが分かる。八雲町はホームページで、国道5号線は真っすぐなため眠気を感じやすく、またスピードを出しても大丈夫だと思い込む人が多いと注意を呼び掛けている。国土交通省は交通事故撲滅に向け、地元の知恵と経験が育んだ対策を重視すべきだ。

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