トップコラム【上昇気流】 (2023年6月19日)

【上昇気流】 (2023年6月19日)

ロシアがウクライナ侵攻で軍事占拠している南部カホフカ水力発電所のダムが決壊、洪水が起きて数万人が被災した。その影響を受け、欧州最大規模のザポリージャ原発も危険にさらされているという。

ロシア軍によるインフラ攻撃では、昨年2月のチョルノービリ原発制圧や、稼働中だったザポリージャ原発占拠などがあった。原子力関連施設へ打撃を与え、その被害や影響の大きさを計っているのだろう。

ロシア国内には原子力関連施設が多数存在しており「その災害対策や安全策の模擬実験をしている」とみる専門家もいる。ある物理学者が、気流子に「廃炉や事故処理の技術を押さえ、ロシア国内の原発施設の延命のために利用するだろう」と話したが、ある意味したたかだとも言える。

かつて軍民両方の核開発で主役を演じたのは、疑いもなく米ソ両国。旧ソ連の原子力技術開発は早くから行われ、軍民とも技術はかなり優れていると言われるが、その歴史はベールに包まれてきた。

例えばかつてのチョルノービリ原発事故で、当事者の旧ソ連はどういった教訓を得たのか、また国内の原子力政策の中身や国民の反応などについて、西側諸国は推測の域を出ない。今回の執拗(しつよう)なインフラ攻撃から、ロシア国内の原子力政策全般をうかがうべきだ。

中国やロシアの核政策を抜きに、西側諸国の事情だけで世界の核問題を論じるのは空想的ですらある。かえって地球上に大きな災いをもたらす元になる。

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