トップコラム【上昇気流】(2023年6月11日)

【上昇気流】(2023年6月11日)

UnsplashTunafishが撮影した写真

「水色に夜は明けゆくや額の花」(木内悠起子)。「額の花」とはアジサイの日本産の原種「額アジサイ」を意味する。稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』では「紫陽花の一種であるが、花は毬状にならず、ほぼ平らで、中心には小さい碧紫色の花が群がり」とある。

ふつう見られる華やかなアジサイは、日本産を品種改良した西洋アジサイである。西洋にアジサイをもたらしたのは、医師で博物学者のシーボルトという説がある。

梅雨の時期に咲くので、今の季節を代表する花でもある。アジサイのスポットとして関東地方で有名なのは、北鎌倉の明月院だろう。平治の乱で戦死した首藤(山ノ内)俊通の供養として建てた庵が始まりとされている。

明月院がアジサイを植えたのは、それほど昔のことではない。第2次大戦後、人手が足りない中で手入れが簡単で育てやすいアジサイが選ばれたという。参道沿いのアジサイは「明月院ブルー」と呼ばれているほど鮮やかだ。

そのほか鉄道沿線のアジサイとしては、箱根登山鉄道の「あじさい電車」が有名。都内では、京王井の頭沿線がよく知られている。車窓から見える花は少しずつ色彩が変わることもあって、幻想的で童話的なイメージも漂う。

アジサイの花について書かれた作品としては、幻想的な作風で知られた泉鏡花に「紫陽花」という短編がある。いかにも鏡花と「七変化」の別名があるアジサイは似つかわしいものがある。

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