イタリア北部の小都市ベルガモに、カルロという友人が住んでいる。彼は若い頃は神父になることを夢見ていたが、それを断念して今は健康関連食品などの輸出入会社を経営している。ウィーンに遊びに来ても、音楽の都でコンサートを楽しむということは少なく、動物園に行くことが多い。
カルロが行くシェーンブルン動物園は、ハプスブルク王朝時代の1752年に開園された世界で現存する最古の動物園だ。現在は700種類の動物・鳥類がいる。キリン、トラ、ゾウなどすべての動物たちを見ると丸1日かかる。昔はカルロに付き合って一緒に行っていたが、最近は奥さんと行くケースがほとんど。戻ってきたカルロに「動物たちは元気だったか」と聞くと、彼は笑顔で動物たちの話をする、というのがお決まりだ。
ウィーンに来て動物園だけを訪問し、ベルガモに戻っていく。神童モーツァルトやワルツ王ヨハン・シュトラウスに失礼ではないかと思うが、カルロは満足しているので何も言えない。
新型コロナウイルス・パンデミックの時、ウィーン市民もロックダウン(都市封鎖)を体験した。来園者のいない動物園のサルやクマたちも戸惑ったに違いない。カルロが住むベルガモは、欧州で最初にコロナ感染が広がり、多くの市民が亡くなった都市として、メディアに取り上げられた。
最近、イタリア、オーストリア、ドイツではオオカミが人の住む地域に出てきて住民は困っているというニュースを聞いた。人間も動物も時代が変われば、生き方も変わる。カルロはいつも語り掛けるような目で動物たちを見詰めるのだ。(O)
カルロが行くシェーンブルン動物園は、ハプスブルク王朝時代の1752年に開園された世界で現存する最古の動物園だ。現在は700種類の動物・鳥類がいる。キリン、トラ、ゾウなどすべての動物たちを見ると丸1日かかる。昔はカルロに付き合って一緒に行っていたが、最近は奥さんと行くケースがほとんど。戻ってきたカルロに「動物たちは元気だったか」と聞くと、彼は笑顔で動物たちの話をする、というのがお決まりだ。
ウィーンに来て動物園だけを訪問し、ベルガモに戻っていく。神童モーツァルトやワルツ王ヨハン・シュトラウスに失礼ではないかと思うが、カルロは満足しているので何も言えない。
新型コロナウイルス・パンデミックの時、ウィーン市民もロックダウン(都市封鎖)を体験した。来園者のいない動物園のサルやクマたちも戸惑ったに違いない。カルロが住むベルガモは、欧州で最初にコロナ感染が広がり、多くの市民が亡くなった都市として、メディアに取り上げられた。
最近、イタリア、オーストリア、ドイツではオオカミが人の住む地域に出てきて住民は困っているというニュースを聞いた。人間も動物も時代が変われば、生き方も変わる。カルロはいつも語り掛けるような目で動物たちを見詰めるのだ。(O)