脳を活性化する草むしり

農作業をする女性

腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症で、妻が手術を受けてから2カ月が過ぎた。月に1度の検診も2度目を終え、今のところ回復は順調だ。しかし、腰を保護する幅広のコルセットはあと1カ月は外せない。

単身赴任の筆者が時折帰省し、腰を曲げることができない妻に代わり、なすべき仕事ができた。庭の草むしりだ。地方では普通の家だが、都会と違い庭はそれなりに広い。地を這うようにして、忍耐強く雑草を引っこ抜いている。

ところが、草むしりは腰痛に加え、筆者に思わぬ副産物を与えてくれた。朝6時ごろから、2時間余り続けた後、シャワーを浴びて取る朝食が実にうまい。肉体労働のない生活では味わえない一時だ。

それから新聞を読んで、机に向かい原稿を書く。これが普段とは比べものにならないほど効率よく、仕事がはかどるのに驚く。農作業は脳を活性化する〝脳作業〟と、誰かが言ったが、朝の草むしりだけでも脳を活性化すると実感する。その一方で、土から離れた都会生活の不健全さを思い知るのである。

健康のためとして、定年後に農業を始める人が多いと聞く。筆者にも、埼玉県の奥地に空き家を購入し、わずかな土地で農業のまね事を始めた知人がいるが、その顔は日に焼けただけでなく、実に生き生きとしている。

ネット検索すると、「健康ネットワーク研究会」という団体が行ったアンケート調査に関する記事を発見した。それによると、畑仕事をしている人がうつ症状を見せる割合は、そうでない人より10ポイント以上低い。畑仕事だけでなく、ガーデニングも脳の働きを活性化する効果があるようだ。

数日、庭の草むしりをした後に帰京し、土と無縁の生活に戻ると、次に草むしりに帰る日が待ち遠しくなる。もちろん、妻の顔を見ることもだが…。

(清)

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