スマートフォンが子供に与える影響について、すでに多くのことが指摘されているが、最近気になっているのは、子供の健康、特に視力への影響である。
文部科学省が一昨年実施した近視実態調査によると、裸眼視力が1・0未満の子供は、小学生が32・9%、中学生が54・7%である。また、0・3未満の子の割合は小学1年生が1~2%だったのに対して、中学3年生では30%にまで増加する。
子供たちの視力低下はスマホだけが原因ではないだろうが、就寝前の長時間利用などに警鐘を鳴らす専門家の意見もよく目にする。もう数年前のことだが、筆者の子供もスマホやパソコンを使う時間が長くなりがちだった。乗り物好きの子供は、学校から帰宅した後や休日にはユーチューブで鉄道や自動車の動画を何時間も見続けていたのである。注意しても、なかなかやめようとしなかった。
筆者もさすがに心配になり、状況を変えようと妻と相談。家庭の中では夫婦で子供との会話を増やすよう心掛け、休日にはデジタル機器から離れて自然に触れるため近くの多摩川河川敷で子供と散歩を始めた。
ちょうどJRと私鉄が通る陸橋が川をまたいで通っていた。自然に触れながら間近に新幹線や電車を見て、写真に収めることができる場所で、撮り鉄の子供にとっては満足の時間を過ごすことができた。貴重な自然体験である。
実際、屋外での遊びは近視の抑制につながるという話も聞いたことがある。子供たちの生活リズムが改善されるということもあるだろう。
筆者の子供を見ても感じたのは、スマホを使っている時は漫然と時間を過ごしていることが多かったことだ。子供たちに生きる喜び、楽しみ、やりがいの経験ができる機会を大人社会がつくること、そして家庭の人間関係がしっかりつながっていることが子供たちの心身の健康を守るために大切だと筆者には思える。
(誠)