今週初め、米大リーグの大谷翔平選手の人気に誘われてテレビ中継を観戦すると、選手も審判もそろって迷彩色のキャップをかぶっていた。解説者の話によると、米国では5月の第3土曜日が軍隊記念日で、軍に敬意を表して全球団がこのキャップをかぶるのだ。
衰えたとはいえ、さすがパックス・アメリカーナだと感じ入った。それで第4土曜日のきょうは奇(く)しくも5月27日であることに気付かされた。戦前はれっきとした軍隊記念日であったからだ。
1905年のこの日、日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を打ち破った。それを機に制定された海軍記念日である。祝賀したのはわが国だけではない。先にNATO(北大西洋条約機構)入りを果たしたフィンランドでは「東郷平八郎提督ビール」が発売されているほどだ。
海軍記念日は表向きなくなっても今もある。神奈川・横須賀にある記念艦「三笠」では例年、式典が催される。気流子もかつて参加した。戦艦ではあるが、今の感覚では小さい。この甲板が血に染まったのかと思うと感無量だった。
「海上交通の守り神」である四国の金毘羅さんに詣でると、旧海軍や海上自衛隊の関係者らが多数、参拝されていた。朝鮮戦争で掃海活動に従事し殉職された方らの慰霊祭もこの日に行われる。
国を守る軍隊の貢献を称(たた)えるのは軍国主義でも何でもない、国家のごく普通の営みだ。軍隊記念日を堂々と復活させてこそ、日本の未来がある。