還暦すぎの人生相談 韓国から

「人生の幸せをどこに見いだせばいいのか…」
 先日、会食した還暦すぎの韓国人男性が唐突にこう漏らした。普段は仕事をバリバリこなしていた。悩み事があるようには全く見えず、泣き言も聞いたことがなかった。それが突然の人生相談を持ち掛けられたのだ。返答に窮してしまった筆者の顔を見ながら、男性は自らの半生を語り始めた。

男性は韓国中部の農村で4人兄弟の長男として生まれた。中学生の時に父親が病死し、自宅の一角で小さな店を営み始めた母親の負担にならないようにと、高校へは行かず、単身ソウルへ行き、縫製工場に住み込みで働き始めた。20代で結婚し、仕事も独立してなんとか軌道に乗せた。娘2人をもうけ、公私ともに安定した中流階級になった。

ところが、生活に余裕が出始めた頃から家庭にひびが入り始めた。家族を顧みず、毎晩のように友達や知人と飲み歩き、休みの日は一人で早朝から趣味の釣りをしに出掛けた。やがて子供たちは成長し、2人とも嫁いでいったが、気付くと残された夫婦の間には「隙間風」が吹いていた。ついに3年前に離婚してしまったという。

「人生の幸せ」は人それぞれだが、男性は還暦すぎて独り身になり、孤独感に苛(さいな)まれているようだった。韓国では近年、熟年離婚が急増した。独り暮らしの老人の孤独死も増えている。そして女性より男性の方が孤独に弱いともいう。すぐ人肌恋しくなる韓国人に、この試練はどう見てもこたえる。(U)

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